どこでも置けるのがワイヤレススピーカーのメリット

今やワイヤレス時代。パソコンやスマートフォンは言うに及ばず、あらゆるメディアが無線で繋がるようになった。良い音のオーディオをハイフィディリティ略してハイファイと呼ぶが、これとワイヤレスをくっつけて、Wi-Fiという言葉が生まれたぐらいだ。ところが、これは主にインターネットなど通信の分野で使われていて、肝心のオーディオでは今ひとつ盛り上がっていなかった。しかし、音楽がダウンロードやリッピングでデータ化している現在、そのデータを扱うキカイたるパソコンで良い音を聴きたいと、誰しもが願うことだろう。何を隠そう、筆者もそうした音楽ファンの一人だ。仕事柄大仰なオーディオシステムを設置してはいるが、ちょっとした息抜きやBGMに、パソコンで音楽を聴くことは、もはや習慣になっている。そんな時は、本当にシンプルなシステムで音楽を聴きたくなる。でも、良い音であって欲しい….という贅沢な欲求。いや、今まではヘッドフォンやチープなパソコン用スピーカーで音楽を聴いていた皆さんも、ちゃんとしたオーディオ用スピーカーで再生できたなら、本当に楽しいだろう。


筆者にとってのパソコンはアップルのMacと同義語だが、Macには有名なGarageBandというDTMソフトがある。これで作ったサウンドや録音した楽器の音色も、複雑なシステムを介さずにスタジオモニター並みのクォリティでチェックできたら有り難い。それこそ、いわゆるPCオーディオの枠を超えた、理想的なコンピューターオーディオ(海外ではそう呼ぶ)である。

セッティングも、これまた拍子抜けするほど簡単だ。

ディナウディオのXeo3を知った時、そして実際に音を聴いた時、そんな贅沢がいとも簡単に実現できることに驚いた。セッティングも、これまた拍子抜けするほど簡単だ。専用のトランスミッターに、音源再生機つまりMacやiOSデバイス(iPod/iPhone/iPadなどをまとめた呼称)を繋ぐ。

 

アンプを内蔵したスピーカーの電源をコンセントに挿す。基本的には、これだけで済む。ワイヤレスに必須の、お互いを認識させるペアリングも自動で、Bluetoothのように面倒な設定は要らない。USB接続する場合だけ、Macの音声出力をXeoに切り換えるだけだ。あとは、Macに取り溜めたiTunesやハイレゾ音源を堪能する。そのサウンドは、とてもワイヤレスとは思えない立派なものだ。iPhoneのRemoteというアプリ(無料)を使えば、Macが手元になくてもXeoに向かったままで選曲や操作ができ、まさにスピーカーのみで音楽を聴くことに集中できるというわけだ。これもワイヤレスならではの便利さ、特権だろう。

 

そもそもスピーカーケーブルが要らない、というのがいい。

ブックシェルフ型ながらXeo3の低音は力強く安定しており、中域は滑らかで高域は繊細。音量も、かなり上げられる。知らない人が見たら、通常のケーブルで繋いだディナウディオ製高級スピーカーを鳴らしているように錯覚するだろう。そもそもスピーカーケーブルが要らない、というのがいい。ケーブルが結構音質に影響するのは言うまでもないが、それに余計な神経や経費を使わないで済む。さらにプリメインにしろセパレートにしろ、スピーカーを充分に鳴らすためにはあるレベル以上のものが必要だが、アンプ内蔵のアクティブスピーカーなので、それも要らない。何よりXeo3専用アンプなので、性能はもちろん相性面でも問題が生じないのである。ここでやや辛口な意見を言わせてもらえば、アンプを換えて音が変わったと喜んでいるオーディオマニアでさえ、実はそのスピーカーが持っている本来の音を引き出していないかも知れないのだ。


それはさておき、Xeo3を使う上でのちょっとしたチップスを、いくつか挙げておこう。MacやiOSデバイスのアナログ出力で聴く場合、ヘッドフォン出力でもいいが、より音が良いのはライン出力の方なので、iOSデバイスならドックのライン出力か、機器本体のドック端子/ミニジャック変換アダプタを介して、トランスミッターのライン出力に繋ぐといい。付属のケーブルで何ら問題ないが、音質の違いを楽しむために、市販のケーブルに換えてみるのも一興だ。USB接続の場合は、なるべくパソコン本体に繋ごう。セルフパワー型のハブでも動作するが、信号径路が増える分、音質が悪くなる原因になり兼ねないからだ。また、どこにでも置けるのがワイヤレススピーカーのメリットだが、内蔵アンプの電源が壁のコンセントから直接取れない場合は、オーディオ用とされている質の良いタップを使おう。プラグは、極性(プラス/マイナス)を揃えて挿す。これが左右のスピーカーで違ってしまうと、本来の音質にならない。これらの点に気を付ければ、Xeo3は必ずや素晴らしい音で鳴ってくれるはずだ。

 

 

●プロフィール

大塚康一:ライター
生まれも育ちも湘南。ギタリストや音楽講師を経て、音楽/オーディオビジュアル/パソコン
のマルチライターとして活躍中。各分野で手掛ける雑誌や書籍は数多く、内外著名アーティス
トのインタビューにも定評がある。趣味は中国拳法(龍星館黒帯)とテニス。現在、評論家仲
間と結成した「CRITICS」を始め、複数のバンドでライヴ演奏を楽しんでいる。

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